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<目次> ※情報を共有することによって効率的な運用を目指す
※自主開発ソフトの共有
※ソフトの共有から共同開発へ
※共同開発の仕組みは?
※公開するための仕組みは?
※改良点はどこへ連絡?
※情報センターの位置付けと構成は?
※情報センターの役割りは?
※サポートの体制は?
※気を付けなければならない点は?
例えば教育委員会に提出された報告書は1つの情報と見ることができます。この情報は、たとえ一人の教職員によって作成されたものであっても、それは「学校としての情報」と位置付けられるものです。
もし、報告された内容(情報)を確認することができるのが作成した担当者のみということでは、それは「学校としての情報」とは言えないでしょう。「学校としての情報」と言うからには、仮に担当者不在のときの問い合わせにも、他の職員によって容易に確認できるような文書管理の仕組みになっていることが必要でしょう。
このような仕組みを、「情報の一元管理」と呼びます。
情報とは、文書だけでなく、その他の様々な要素を含んだ包括的な概念です。
対外的な報告書だけでなく、校内での内部資料や研修会レジュメ、報告書にまとめるまでのメモ程度の資料でさえ、それは”情報”と呼ばれるデータとなります。
資料や文書などの印刷物だけでなく、例えばビデオテープや音声テープでさえ、それらのデータも”情報”と呼ばれるべきでしょう。もちろん、パソコンで作られたデータも”情報”と言えます。
事務研の中にはこのような情報はたくさんあります。代表的なものは夏季研究大会資料でしょうし、各種の調査結果も重要な情報です。このような会員個々から上がってきたような情報だけでなく、行政から提供された情報もあるかもしれません。事務研という組織だから知ることができたような情報もあるかもしれません。
学校での文書管理と同じように、組織の円滑な運用のためには、これらの有用な”情報”を誰もがいつでも利用することができる仕組みを整備することが大切です。
この多種多様なデータをもし一元的に管理することができ、各会員が必要に応じて手軽に、しかも自由に利用することができれば、「情報の共有」という概念にまた一歩近づくことができるのではないでしょうか。
そしてそれは、組織の円滑で効率的な運用を促すことに役立つでしょう。
- 会員によって自主開発されたコンピュータソフト等も、これらの情報の一つと考えることができます。それは、例えばエクセルのフォームであったり、一太郎で作られた様式であったり、本格的にプログラミングされたアプリケーションソフトであったりします。
その1つ1つが、組織の効率的な運用を促したり円滑な運用を促すために有用なデータ(情報)となります。
しかしそれは、組織の取り組みとして作成された他は、組織内の様々な部署で別個に作成され保存されていることが多いのではないでしょうか。
それはちょうど、校内で各担当が作成した文書の管理の現状になぞらえることができます。
もし文書管理が十分でなく、個々の文書が担当者の机の中にしまわれてしまい、組織全体で相互に利用することができないような現状であるなら、ちょうどそれと同じような課題が当てはまることになるでしょう。
せっかく有用な様式やソフトなどができていたとしても、作った人以外には使えないようになっているようでは、せっかくの有用なデータが十分には生かされていないことになります。
例えば使いやすいエクセルのフォームが誰か一人の手によって作られたとします。それを他の人にも利用してもらうようにすれば、もっと有効な活用が広がっていくことになるでしょう。
さらに、もし利用していく上でより良い改良が加えられていけるようなら、そのフォームはもっと使いやすいものになっていきます。一人だけでなくもっと多くの人たちによって改良の作業が進められていけば、それはどんどんと使いやすいフォームとして育っていくはずです。
それが単なる様式であったとしても、複雑な処理を行うアプリケーションソフトであっても、開発の重要なプロセスは多くの事例によって検証されることです。
誰かによって作られたソフトを使わせて貰うという意識でなく、共同で開発していくんだという意識が、より良い成果を作り上げていくことになるのです。
このような意味で、共有から共同開発へという意識の変換が、今、求められています。
例えばエクセルのフォームを作ることを考えれば、まず誰かが元となるフォームを作ることから共同開発は始まります。
この元となるフォームを組織内にできるだけ広く公開することが、まず重要です。
次には、意識的にもこのフォームを使ってみることです。
使えば必ずと言って良いほど、改良すべき点が目に付くようになります。
改良点を自分で解決できれば、このフォームは一歩成長したことになります。たとえ自分で解決できなくても、改良すべき点を指摘するだけでも大きなプラスになります。
共同開発なんだから自分でフォームの修正などができなくては、などと考えることはありません。自分はアイデアを出すことが役割り、誰かはそれをプログラムにしていくことが役割り、このように考えることもできるのです。
元フォームを作った”誰か”が自主的に公開してくれるのも一つの方法でしょう。
しかし、同じような目的を持ったフォームが他にもあるかもしれません。もし他のフォームが先に公開されていれば、それを参考にしてさらに良いフォームに修正できたかもしれません。
それぞれが独自で公開していくというやり方は、決して効率的ではないと言えるでしょう。
これを解決するためには、情報収集のためのセンターを設けることです。
元フォームができたという”情報”を一箇所に集め、そこを通して公開していくことにすれば、このような重複という事態を避けることができます。
使っていけば必ずと言ってもいいほど修正したほうが良いと感じられる点が出てくるものです。
それは、根本的なものから単に表示の問題程度のものまで様々です。自分で簡単に修正できるものもありますし、作った本人でしか直せないものまであります。
どのようなものでも気が付いた時点で作成者に連絡するのが一番確実ですが、それを修正する方が良いのかどうかと考えると、それは意見が分かれることもあるかもしれません。
これらの混乱を避ける最も良い方法は、どこか一箇所に連絡を集めることです。
ちょうど、元フォームの情報を集めた”場”がある場合にはその”場”が適当でしょう。
公開するための”場”も、修正意見を集約するための”場”も、同じであることが最も望ましい形だろうと思います。
例えばそれは、”情報センター”と呼んでもいいでしょう。
学校の校務分掌表で例えれば、企画運営委員会などのすぐ下に位置付けられるでしょうか。同列には教務部や学習部、庶務部などが置かれていることでしょう。
事務研などの組織に当てはめてみれば、研究部や実行委員会などの部署があるなら、それと同列の位置付けということになります。
研究や事業の一部と見るより、独立させた取り組みとする方が少ない制約の中で活動させることができるからです。
そのためのスタッフに多くの人数を配置する必要はないでしょう。複数であれば十分ですから、3〜4人でもいいのではないでしょうか。大切なことはそのような体制でも機能させられるようなルールを整備することです。
情報センターの目的は、「情報を収集し提供する」ことです。元フォームができたという情報、改良した方が良い点が見つかったという情報、改良されたという情報、それらの情報を収集して、その結果を広く提供していくことが目的になります。
例えば、新しいフォームなどの情報がある場合にその内容まで検討することは、目的の第一義にはなりません。
内容に問題があるかどうかは、公開してからの反応に任せても良いのではないでしょうか。
良いフォームであるならそのような反応が返ってくるはずですし、問題のあるフォームならそれなりの指摘が出るはずですから、情報センターの役割りとしてはそれらの反応を遅滞なく公開し、提供することに重点を置くべきです。
その意味で、情報センターにはコンピュータに詳しいスタッフを配置しなければならいという必然性は出てきません。
情報センターの活動を保証していくためには、やはりそれなりのサポートが必要です。
まず考えなければならないのは、情報を収集したり公開するための工夫です。
例えば、アンケートを集め、整理し、まとめ、印刷物として配布する、などの方法が考えられます。
使用してみた上での改良点なども集めておいて整理し、また印刷物として配布していけば、目的としては達成されるかもしれません。
しかしそれでは、文書の往復に要する時間がかかりすぎて、実際には機能しないシステムになってしまうかもしれません。
特に、情報の中身がフォームなどの場合なら、使っていく上での疑問点などはその場ですぐに解決できることが求められます。問い合わせをして答えが返ってくるのが一月も先ということでは、”検証”などできるものではないのではないでしょうか。
このような方法では、時間だけでなく多くの人手も要ることになります。
まとめて印刷物にするだけでも相応の時間と手間を必要とし、強いてはそのことが活動そのものを鈍らせていく大きな原因となることも考えられます。各会員の要求を満たすためにこのような方法を取るとすれば、3〜4人位のスタッフではとても手が回らないことでしょう。
情報伝達の手段としてコンピュータネットワークが注目されていますが、近年、国の施策として地域間のイントラネット構築の取り組みが進められています。
単位は市町村としているものが多いようですが、同一市町村内なら各学校間でコンピュータネットワークが繋がっているという状況が現実のものとして考えることができるようになってきています。
そのイメージは、ちょうどインターネットでのホームページの運営と同じようなものと言えます。
ホームページのように情報センターを設置し、新しいフォームができたらネットワークを使って連絡してもらう。
そのフォームを使ってみようと考えた学校は、ネットワークを使って手に入れる。
使ってみた感想や意見、改良したほうが良いのではと感じた点なども、ネットワークを使って連絡する。
全ての情報や動きはネットワーク上の情報センターを見れば、常に最新の状態を確認することができるのです。
このような仕組みを作ることができれば、ストレスを感じることなくフォームの検証も進んでいくことでしょう。
この仕組みを運営するスタッフも、情報の流れをチェックすることが主な仕事となりますので、少人数であっても十分に機能していくと思います。
まず技術的な問題として、情報センターのメンテナンスの問題があります。
簡単に言えばホームページを作ると考えればいいのですが、新しいフォームなどの情報を受けるためのコンテンツを作る作業、それを整理するためのコンテンツを作る作業、希望者に公開するためのコンテンツを作る作業、改良点などの意見を受けるためのコンテンツを作る作業、その意見を検討するためのコンテンツを作る作業、その結果を整理するためのコンテンツを作る作業、などなど。
これらの作業が初期設定として必要となります。情報センターを設置するための準備作業と考えてください。
更に、実際に運用されれば故障やエラーは付き物ですから、それを直すメンテナンスの作業が加わります。
イントラネットやインターネット上に情報センターを作る場合は、相応のコンピュータの知識のある人に頼らざるを得ません。組織内で頼める人がいればいいですが、そうでない場合は業者への発注になります。
初期設定の際にまず検討を必要とする点は、「アクセス制限」の問題です。
イントラネットならその中の全ての人から、インターネットなら世界中の人たちから利用することが可能になる訳ですが、例えば学校事務で使うフォームの公開は組織外の人たちには何のメリットもないし、むしろ何らかの弊害を引き起こす危険さえあるものだと考えるべきだと思います。
当然のように、組織内からだけアクセスが可能なような設定にすべきでしょう。技術的には簡単なことですから。
情報センターへのアクセスが制限される設定となっているとして、次に考えるべきことは、新しいフォームなどを登録する権限や、利用したいフォームを使う権限に制限を設けるかどうか、という点です。
これは、基本的には制限を設けるべきではないでしょう。制限を設けるということは情報センターの設置の趣旨に沿わないばかりか、自由な意見の交換も阻害してしまうことにもなりかねないからです。
更に、このような状態で運営を続けていくためには第三者の手によって制御しなければならないということになりますから、そのためのスタッフが必要になるということになります。それは組織の運営としては好ましいことではないことでしょう。
制限を設ける必要が出てくる場合として考えられるのは、第三者への誹謗中傷が含まれている場合や、条例規則に反する内容を含んでいる場合などに限定されるのではないでしょうか。
これらのチェックは、最終的には利用者のマナーに任せざるを得ないと思いますが、日常的には運営スタッフによって監視されるものになります。。
このことは、改良点などの意見の交換についても当てはめることができます。
それぞれの”思い”というものも出てくるものですから、”言葉の行き違い”ということも考えられることです。それが感情的に応酬されるという事態も想定しておくべきです。
これを制御する役割りも、運営スタッフには重要な仕事内容となります。
これらの混乱を避ける事前の方策として、利用者間のルールの問題があります。利用するもの同士のマナーの問題と言ってもいいかもしれません。
情報の内容がコンピュータソフトなどの場合なら、最初に提供してもらった人を尊重するということは最も基本的なマナーです。著作権がどこにあるかという問題を離れて、マナーとして最初の開発者なりグループなりを明らかにしておくことが重要です。
更に、何人かのアドバイスによって改良されたのなら、その経過についても明らかにしておくべきです。
このことによって”共同開発”という概念が育っていくものだと思うからです。
そして、その経過などを整理し管理する仕事は、運営スタッフの大きな仕事となります。
最後に重要な点は、ハード整備のバラつきを埋める工夫です。
同一市町村内のイントラネットの構築はこの2・3年で順次整備されていく予定だ、とのことですが、それでも学校事務の目的で全校でイントラネットやインターネットが使える状況になるのかどうかについては、いくつかの不安点もあるのが事実です。考え方の違いから、自由に使える状況にない学校が出てくることも、あらかじめ想定しておかなければなりません。
それらの学校については、ハードの整備という点から一律に取り組みを進められないということになりますから、それらの学校ででもできるようになるまでの間、経過措置的な取り組みの配慮が必要となります。
現在では、運営スタッフの増員か別の部門でサポートすることしかできないかもしれませんが、早晩に同じ環境で使えることができると考えることができますから、その時のためにも、情報センター設置への取り組みを早急に開始するべきではないでしょうか。<2002.08.22>